A5502K 変換について考える:追記

 搭載されているのはAdvancedWnn。POboxのような予想変換も搭載する高機能変換ソフトだ。UNIX界で鍛え上げられたwnnをコアにオムロンが開発したもの(なはず)だ。

 ここでは、prism(palmOSのPDA)で使っている POBox inline for PalmOS(以下POBox)と比較しながら感想をまとめたい。

 初期状態ではカタカナ語はあまり登録されていない。PCと違って、メモリに余裕がないので、必要最小限しか登録されていないのだろう。一度確定してしまえばリストされるので、ある程度使い込むまでは入力するしかない。

 この手の変換方法は、登録単語が自分の使う単語に最適化されるまでは面倒だ。これは、PObox でも同じことだ。ただ、PCの辞書からメモ帳経由で複数単語一括登録が可能で、自分特有の未登録頻出単語(会社名や人名、地名)を一気に充実させることが可能だ。しかも、単語だけでなく変換パターンまでも登録できるので、いきなり使い込んだ辞書を作ることが可能だ。A5502Kはケータイで叩くしかないところが辛い。PCとの連携が前提のpalm機とPCに依存しない携帯電話との差だろう。しかし、この機種なら、A5403CAのように、PCとの連携が前提でもいいと思うんだが、どうだろう。俺が世間一般とかけ離れた感性だということは理解しているが、この端末を持っている人間の平均はそんな感じだろう。話はそれるが、A5502K所有者のPC保有率は、A5403CAとSO505isと肩を並べ、限りなく100%に近いと思う。

 なお、テキストデータからの一括登録ではないが、自分で登録したオプション辞書をセーブしたり、ダウンロードしたりはできる。2ch用辞書などは既にあるが、他に公開されているものは少ない。というか、見つけられない。機種依存の辞書ファイルをキャリアが出すことは難しいだろうから、京セラがサポートサイトで公開して盛り上げたらいいのにと思う。登録・メンテナンス用のユーティリティ(win版だけでもいいから)も併せて公開して欲しい。

 広大(QVGA:320×240)な液晶画面を活かしてたくさんの予想変換候補が表示される。しかし、5回以上「下キー(次変換候補選択)」を押さなければならないような候補数を出しても打鍵数低減効果は薄い。候補の移動が下キーでしかできないからだ。次の文字を打って候補順を上げてから選ぶか下キーをおしまくるか迷うことがある。

 prismは160×160という低解像度で、候補は一行にしか表示されないので、A5502Kのようには候補が挙がらない。これはこれですっごい不便だが、候補にさえ表示されれば、タップ一つで単語を入力できるところが違う。定型の文などはタップだけで終わってしまう。POBoxでは、表示されている限り、タップ一回で単語の入力が可能だから、候補の上位に食い込めばヒットしたのと同じ効果があるからだ。A5502Kでは、候補にリストされていても、一位でない限りワンアクションで選ぶことはできない。

 変換候補表示のレスポンスだが、prismを使い慣れているせいか、遅くは感じない。関係のない候補の表示が遅れるが、気にする必要はない。例えば、「マウス」を入力したいとき、「ま」の変換上位に「マウス」がなければ、「う」を入力するべきだ。そして、「1」「1」「1」と入力しているときに、「まあ」「まい」を語頭にした単語が表示されるが、表示を待たずに3回「1」を押せばいい。要するに、途中の表示など気にせずに3回連打しても大丈夫ということだ。

 辞書の鍛え方に差が大きいので差し引いて考えなければならないが、それを差し引いてもA5502KとPOBoxのヒット率には差があるように感じた。何より、変換候補について違和感が付いて回る。理由を考えたら、ローマ字入力とひらがな入力の違いに思い至った。
 ローマ字変換の場合、ア行以外であれば、子音を入れた時点でその子音行を使った単語を変換候補に上げることが可能なのだ。例えば、「K」を入力した時点で、「更新、機種、金、キャリア」と候補が表示される。さらに、POboxではローマ字単語も候補となる。prismでは「p」を入力すると「prism、palm、パス、Perl」が表示された。ひらがな入力ではこんな候補リストは有り得ないだろう。

 また、濁音も効率を落とす。ローマ字入力なら、子音の段階で濁音であることを明示できる。
 統計を個人で取れないのではっきりは分からないが、予測変換方式の場合、絞り込みがゆるいローマ字変換のほうが効率がいいのではないだろうか。ケータイのキーでも、ローマ字は一つのキーに3つか4つしか割り当てられていない。
 常用単語を統計処理すれば分かると思うが、頭文字は偏りがあるはずだ。頭文字として使われる頻度が低い段(え段やお段)にある行では無駄な打鍵(目的の文字に到達するまでに打つ回数)が恒常的に発生する。これは、現在のひらがな入力の根源的な弱点だろう。
 予測変換には、ローマ字、50音表(ポケベル入力が近いか)、T9のような方法のほうがいいような気がする。

 下は、A5502Kで初めて「マウス」を変換したときの様子。途中で、全然違う単語が現れることが違和感に繋がるような気がする。palmでは、文字を入れる度に絞り込まれることが実感されるが、ケータイの入力方法ではそうはいかないのが、ストレスになるのではないだろうか。

 なお、変換例はたまたまそのときに俺のprism・A5502Kででたというだけで、ダイナミックに入れ換えられるので、同じ環境で使っていても同じものはでない。予測変換方式は、学習によって、どんどん変わっていく。そして、その人の使う単語を忠実に反映したものとなっていく。ケータイの場合は、メールで使う単語・言葉が出るので面白い。そんな単語を晒して遊ぶ「悲しい辞書」が静かなブームとなっている(のか?)。俺の場合は、まだ、デフォルト状態に近いのでやらない(面白くない)が、半年くらいしたらやってみたい。

 しかし、よく考えると、これってホントにプライバシーに関わる問題だ。恋愛中の人達はよく気を付けないと思わぬところで足をすくわれかねない。気を付けろ!

 そういえば、どこいつをちょっと思い出した。どこいつはメモり容量が少なくて、オーバーフローしてしまうので、あまり使い込むことはできなかったが、ケータイの辞書ははるかに高機能・大容量だから、面白そうだ。

追記1ーーー
 大文字・小文字変換の方法が分かった。ちゃんとマニュアルを読めば分かることだが、見落としていた。これで「っ」の入力のために8回もボタンを連打しなくて良くなった。といっても、4回は必要だが・・・

 一つ残念なのは、数字変換が無いこと。ひらがな入力モードで入れた未変換文字列を一括で数字に置き換えられるのは便利だった(J-SH04)。オプション辞書で登録するという手もあるが、変換候補に無意味な数字が並ぶのもいやなので、今はモードを切り換えてから入力している。
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